1-4-2 陸上植生(森林と農作物)による地球温暖化の緩和(吸収)
森林及び農業分野(農作物・土壌)の光合成によって、大気中の温室効果ガス(CO2)は森林や土壌に吸収・貯蔵される。これが気候変動の緩和に繋がっている。
1-4-2-1 森林
1-4-2-1-1 森林の役割
森は数十年間かけて二酸化炭素(CO2)を吸収して成長し、それを蓄積する。熱帯林は地球上の生物種の半分以上のすみかである。
特に、アマゾンの熱帯雨林は生物種が非常に多く、CO2の吸収量の多さから地球の肺と言われている。森は水をためておく働きをしているので、「緑のダム」ともいわれており、森がなくなると水は一気に川に流れ込んで洪水を起こしやすくなる。
また、森は砂漠化を食い止めてくれる役割も果たしている。
1-4-2-1-2 世界の森林の現状
地球の表面積の約30%は陸地で、陸地の約30%が森林で、その面積は約38億7000万へクタ―ル(2000年現在)で日本の面積のおよそ100倍の広さである。世界の森林面積の年当たりの国別純変化量(2000年~ 2010年)を図1-3に示す。
出典:「世界の森林を守るために:世界の森林の現状」
国際的な森林保全対策 環境省
1-4-2-2 農作物・土壌
1-4-2-2-1 土壌の炭素循環
大気の対流圏の厚さが約10kmあるのに対して、世界の人口約88 億人(2022年)の食料を支えている地球の土壌平均厚はわずか0~1mである。
炭素は土壌~植物~大気の間を循環しているが、土壌炭素(有機物)は、もともと植物が光合成で大気から吸収した炭素に由来するので、土壌中の炭素の量が増えると、その分だけ大気中のCO2が減少した勘定になる。これを「土壌の炭素貯留」と呼ぶ(参照:図1-4)。併せ、参考までに農地・草地土壌の炭素収支モデルを図1-5に示す。
出典:「農地への土壌炭素貯留と温度効果ガスの削減のために」
独立行政法人農業環境技術研究所
図1-4に示すように植生部分(作物体)の収穫物は持ち出されるので、土中に炭素は溜まることはないが、土壌に投入された堆肥などの有機物資材、植物地上部の残渣、及び枯死根は土壌有機炭素(SOC)として土壌に供給される。
土壌のCO2吸収量は1兆5000億トンもあり、大気の2倍、陸上植生の3倍である(参照:図1-6「土壌のCO2吸収量」)。
1-4-2-2-2 土壌炭素が増減する要因
土壌炭素は土壌中の微生物により分解され、二酸化炭素(CO2)となって大気中に放出される。
水田や畑では、土壌炭素が増加すればその分、大気中のCO2を吸収したと考えることが出来る。従って、土壌炭素を増やすことによるCO2の吸収、つまり温暖化の緩和と、地力の維持増進による農地の生産力向上は、いわゆるWin-Winの関係にあり、土壌の炭素貯留を進めることは、生産にも環境にも良いということになる。
出典:「日本の農地における土壌の炭素貯留と温室効果ガスの緩和策」 白戸康人ほか
以下に土壌炭素が増減する要因を述べる。
①温度:低い程、分解が遅い。つまり、土壌有機炭素(SOC)が増加する。
②土壌水分:過湿でも過乾でも増加する。
③土壌理化学性 :粘質ほど増加、及び極端に酸性でもアルカリ性でも増加。
④管理法:不耕起でも増加。
⑤有機物(植物残渣・堆肥):量が多い程SCOが増加。
⑥質(分解のし易さ):
・C(炭素量)/ N(窒素量)比が高いほど増加。
・リグニン等難分解性含量が高いほど増加。
土地利用、農法によっても土壌炭素は増減する。
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