新たな国民病、腎臓病は世界中で増えている

◼腎臓病は新たな国民病である

国民病とは、多くの国民に広がり、体力を低下させ、社会に悪影響を及ぼす病気とされています。戦前の国民病として有名なのは結核ですが、現在ではがん、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病、精神疾患が五大国民病として認識されています。

2023年の日本における腎臓病の推計患者数は約1480万人で、成人の7〜8人に1人が罹患していると報告されています。(1)

しかし、実際には2000万人、すなわち6人に1人が腎臓病の疑いがあるとの推計もあります。腎臓病の治療を受けている患者数は約63万人に達し、毎年約1万人ずつ増加しています。(2)

このことから、腎臓病は新たな国民病と呼ばれています(下図)。腎臓病の患者数が増加した理由としては、健康診断の検査項目にeGFR(推算糸球体濾過量)などの腎機能検査が追加され、無症状の患者が多く発見されるようになったことも挙げられます。

 

腎臓病の危険因子には、高血圧や糖尿病、肥満、痛風、高脂血症などの生活習慣病が深く関わっています。特に糖尿病は透析導入の最大の原因であり、透析を受ける患者の約40%が糖尿病に起因しています。

高血圧の薬は腎臓に良い薬が増えましたが、残念ながら医療機関を受診しない人が多いのも事実です。その他、腎機能を悪化させる要因に、喫煙、ストレス、運動不足などもあります。

日本人の食生活は以前と比べて大きく変化しています。最近の研究では、リンの過剰摂取が腎臓病を誘発することが明らかになっています。(3)

リンは、添加物が豊富なカップラーメンなどの加工食品や乳製品、ファストフード、スナック菓子などに多く含まれています。これらの食品は、コンビニエンスストアの普及により、手軽に入手できるようになりました。便利さと健康の維持は両立が難しいということかもしれません。