川田は気付いた。確かその二人も去年キャンプに参加していた大学生だ――。

「副リーダーの泉(いずみ)さんと早坂(はやさか)君だよ」林が囁いた。

「去年のキャンプの後、大学生だけの反省会があってね。そこでぼくのリーダーシップ不足が議題に上がったんだ。その結果『林はもう一回やるべきだ』ってことが決まって、それで今年もぼくがリーダーになった」

「そんなの、あの人たちがやりたくなかっただけでしょ」

「さあ? なんにしても、ぼくとしては任された以上、ちゃんとやりたいんだ。今回のキャンプは去年以上に成功させたい。だからこそ中学生のリーダーには、参加経験のある人に就いてもらいたいわけ。きみは前に参加してるから、いろいろ分かるでしょ」

川田は林から顔を離した。林は涼しい顔をしている。

「俺以外に、木崎(きさき)も去年出てますよ」

川田は低い声でそう言い、十歩ほど離れたところに立つ茶髪女子を指差した。

「だめ」林は首を横に振った。

「なんで?」

「あの子、ぼくと口利いてくれないんだもん」――なっさけない大学生だ。

川田は呆れ果てた。その隙に腕に何かをはめられた。

咄嗟に腕を引いたが、時すでに遅し、二の腕に「班長」の腕章が掛けられている。

「ちょっと、何を勝手に」

「はい注目!」林は手を鳴らしてあたりに呼びかけた。

「今から宿泊場所の割り振りを説明します。中学生男子は竪穴式住居A。女子は大学生女子と一緒にB。男子大学生はCね。なお、中学生のリーダーはこちらの川田くんだから、彼の指示に従ってください」

林は呆然とする川田を尻目に、観光案内所の角にたむろする大学生の元へ小走りしていった。

――クソ……。

川田は奥歯をかみしめた。

――アイツ、なよなよして頼りなさそうだけど、どっか切れるところがあるんだよな……悔しい! 畜生!

次回更新は1月23日(金)、22時の予定です。

 

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中学生たちは早めに床に就き、明日から始まる本格的な縄文生活に備えた

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