夏海と徹が再会したのは、炎天下で娘と徹が手を繫いで歩いていたあの頃から四年が過ぎた頃だった。

「お久しぶりです。お元気でしたか」

何を言われているのかわからないぐらいに音楽が店中に響き渡っている。

徹が大学生になりこのホストクラブでアルバイトを始めたから客として行って欲しいと沙耶に頼まれ、夏海は仕方なく徹が働いているホストクラブ「ミシュラン」に足を運んだ。席に着きようやく目が暗闇に慣れてきた頃、徹が現れた。

「えっ、徹君なの」

夏海は四年振りに会った大人びた徹に驚いた。白いシャツに黒いスーツを着ている。髪は柔らかい栗色に染め上げられ、夏の日差しを照り返していた少年の面影はみじんもなかった。

次回更新は1月15日(木)、21時の予定です。

 

👉『私の中のアヒルと毒』連載記事一覧はこちら

【イチオシ記事】男たちの群れの中、無抵抗に、人形のように揺られる少女の脚を見ていた。あの日救えなかった彼女と妹を同一視するように…

【注目記事】やはり妻はシた側だった?…死に際に発した言葉は素性の知れない「テンチョウ」