【前回の記事を読む】息子が2歳で「自閉症スペクトラム」と診断された。予兆として、指差しがないこと、発語がないこと、足の力に違和感があり…

第1章 診断

◆障害を抱えた我が子とともに

子どもが障害を抱えていたとき、当事者にはもちろんのこと、その家族へのサポートはとても重要だと感じます。診断後のサポートとは、国や自治体の制度を使った福祉や医療からの継続的な支援のことです。

診断時、医療・福祉関係者の方々に、それなりの仕事をしていただきました。ただ、『サポート』があったかどうかといえば悩ましいところです。

私は、人に何かしらの診断をつけるのならば、『支援』もセットでなければならないと思います。診断とセットで支援があることが伝えられ、これからの育児の見通しがつき、少しでも安心して子育てができる必要があるのではないでしょうか。

それなのに、診断が不安の要因となってしまったことは、私の育児人生において残念なことでした。時代の変化のスピードが速い現代なので、今の事情は分かりません。

ただ少なからず、10年以上前に我が子の『自閉症診断』を受け、深い穴に突き落とされたような気持ちになり、そこからは這い上がることに大きな自助を求められたことは、私の人生においてつらく悲しいことでした。

もちろん、周囲にいる人たちは『助けたい』と思ってくれていたはずです。自閉症診断を受けた親の気持ちに大きなサポートが必要ということを、多くの人が理解はしていたはずです。

しかし、個々人は理解していても、組織や自治体・国はそうでもなかったのかもしれません。それには、理解がなかったのか、人手が足りなかったのか……といった何かしらの課題が見え隠れしているように感じています。

よく障害者の親は『強い』と言われますが、我が子に障害があると言われて、ずっと強くいられる人など少ないはずです。

『これからは誰かがサポートしてくれるのか』『この子たちはどうなるのか』『私たち家族はどうなるのか』といった見通しが持てて初めて強くなり、前を向こう、と決心できる人も少なくないでしょう。

そうでなければ、障害を抱えた子の親たちは路頭に迷ってしまいます。

日本の福祉は歳月を増すごとに充実してきてはいますが、それでもまだ『親』や『本人の努力』によって保たれています。

そのような状況に対し、今、私にできることは『診断当時の気持ち』を言葉にして、つないでいくことだと考えました。