言葉を使って生きている人間と、言葉を持たずに生きていた古生物から受け継いでいる何かが脳の中に共存していて、その古生物としての何かが0.5秒前に起こる脳の動きを司っているのかもしれないとチッケは考えることがある。

言ってみれば人間がコントロールできない本能、生存本能のことだ。

無意識は意識と共存することで別な任務を与えられているのかもしれない。

人の無意識を操るのが脳内に共存している古生物の生存本能だったら。時々こんなことを夢中で考えているチッケは、脳内の何らかの電気的な活動で、死の直後に意識が外に飛ばされるのかもしれないと思った。

意識して身体を動かすことがなくなると意識はもはや身体には必要なくなり、そのため体外へ放り出されるとしたら、その時にも意識する直前に動く脳が働く。

それこそそれが人が消滅する時に起こる最大の脳の役割で使命なのかもしれないとチッケは考える。

或いは意識が身体と一緒に消滅しないように、つまり意識を守るために脳の外に出されるという真逆もあり得るかもしれない。

古生物の生存本能は、脳内で共存していた意識という古生物にとっては意味のない、もっと言えば不純な物を排除したいのではないのだろうか。

または意識を生存させるための手段なのか。つまり本能的に肉体の死だけを完結するために。