【前回の記事を読む】誰もいない家に血溜まりだけが残っていた――意識不明の母に、私は「血を全部抜いてもいい」と叫んだ

第2章 老いを受け入れるということ

母のことを守れるのは子どもである私だけ

輸血による副作用で、患者があとで苦しむ事例もかなりあることは事実です。私は、万が一のことを考えてできるだけ避けたかったのです。

いずれにせよ、治療をする際、担当医とできればその上司の方と、よく話し合うことが望ましいです。患者本人の容態を第一に考えるのはもちろんですが、納得した医療を施してもらうことも大切だと思います。医療事故が起きているのは事実ですし、それを防ぐ最後の砦(とりで)が家族だと思います。

その後、ヘモグロビン値が戻らないなどありましたが、なんとかその時は、輸血は免れました。

他にも私が医者の提案に異を唱えたことが何度かあります。

特に私が強く反発したのは、母に拘束帯を使用したいという病院側からの提案です。患者様を守るためと言われましたが、最初私は承諾書にサインできませんでした。

どんな子どもでもきっとそうだと思いますが、自分の親が拘束帯で病院のベッドに縛られているのは、とてもショックな光景ですし、本人にとっても精神的にダメージを受けるのではないでしょうか。

この時はまだ母の意識がしっかりしている状態だったので、必ず本人の了解のもとに拘束帯を使用するという条件を出して、承諾書に署名捺印(なついん)しました。結果、この時の入院の際には、拘束帯は使用されませんでした。

家族の心と体を守れるのは家族だけです。