その結果、稜線付近での事故であり、傾斜地であったとしてもヘリコプターでの救助をまず第一に試みることとなった。

救助隊については、現場が小窓尾根という困難なバリエーションルート上の二,四〇〇メートル地点であり、救助のための人足を上げるとなると現場に到着するまで少なくとも一日半はかかってしまうため、救助隊自体が次の悪天につかまってしまう可能性が高く、そうなれば二次遭難の恐れがあった。

従い、救助隊は編成するが、しばらく馬場島で待機することとなった。また、天候、視界などから、今日中に富山県警の山岳救助ヘリコプターを飛ばすことは不可能だが、天気予報では明日未明から一時的に天気が回復する、所謂「疑似好天」が訪れるとのことだったので、その疑似好天の間隙をついて救助用ヘリコプターを飛ばすことに決定した。

しかし、その疑似好天は長続きせず、明日の昼前、早ければ午前九時頃には極めて強い寒気を伴った冬型になり、その後、剱岳周辺は大荒れになるとの予想だった。

つまり、救助のチャンスは明日の夜明けから疑似好天が続く間だけだった。それを逃すと、次のチャンスはおそらく四日後又は五日後となる予想だった。

馬場島の登山指導センターでは、上市警察署から伝えられた鬼島の無線のコールサインを、メインチャンネルの周波数を使って何度か呼んでみた。しかし、すぐには応答はなかった。

次回更新は1月20日(火)、8時の予定です。

 

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状況急変。救助用ロープが落石で切れた。「もう、登り返せないですよね? どうするんだよ? どうなっちゃうんだよ…」

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