「しまった! くま手を持ってくればよかった……」。

そして、何を思ったのか、手を大きく広げ、小さなからだで、前のめりになっていく。

「おれは、強いんだぞ! お前より、闘争本能があるんだぞー」。

 と、ありったけの力を振り絞って、迫っていく。

「おい 岳斗! 大丈夫か」。

……「父ちゃんがいっていた。クマにバッタリあったとき、逃げるな。からだを大きく見せろ!って」。

 

クマはウロウロと、引こうか、前に出ようか迷っている。

緊迫した時間を、海望三勇士たちは、大きく手を振り上げて、クマに向き合った。

 

功を奏して、クマは、三勇士の気迫にたじろぎ、ひるがえって林の中へ去っていった。

ここで、クマになりきって考えてみると、三勇士たちの六本の腕が、自分のクマの手に比べものにならないくらい、立派なクマの手に見えたのではないだろうか……。

 

「あー 襲われなくてよかった!」 と、広矢。

「クマのほうから逃げていったね」と大輔。

 

「父ちゃんが前にいっていた。村の掃除が終わり帰ろうとしたとき、クマに出会い、持っていたくま手で、追い払ったら逃げていったそうだ。トゲなど、とがったものが苦手だって……」と岳斗はいった。

「あー 怖かったー」 と広矢。

「ビビったわ」 と大輔。

「どうする 牧場、すぐそこだけど帰ろうか?」。

「いや、3人で話していたほうが怖くないので、やっぱりヤッホーと叫ぼうよ」 と大輔。 

やれやれ。幸運としかいいようがない。あえていうと、子どもたちが、しゃべりまくって気持ちが一つになっていることが幸いしたのだろう。希望の力、海望三勇士 強し!

 

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