海望三勇士の冒険

「僕には、とても息の合う友だちがいるんだよ。海望三勇士だ。大輔に、広矢、そして僕、岳斗」。

生まれてからみんな、海にいったことがない。

小さいころ、家族と一緒にいったかもしれないけど、海の記憶や、実感がない。

3人で、海にいけるかな、と相談した。

 

「とりあえず いっちゃえ!!」という大輔。

広矢はいう。

「どうやっていくの。ここはバスしかないし、

海にいく列車に乗る駅までは、1時間かかるよ。お金もないし……」。

「じゃあ、こしぶ湖へいこう! 歩いていけるから」 と大輔。

「いいねえ……」と、いいながらしばらくたち、

「あそこはダム湖だよ! ダム湖は水流があって危ないから、泳いじゃいけないと父ちゃんがいっていた」 と広矢。

「面白そう……とりあえず、いっちゃえ!」 と大輔。

「それはさすがに、危ないよ。人造湖だもの。自然じゃないもの。やめとこう」と岳斗。

目的があって作られた湖を、自然の湖と混同したくない、と思った。

「そうだ。牧場へいこう。ヤッホーと叫びたくなってきた」。

「いいな。ヤッホーだ。いこう」。

「いこう」。

 

3人は、山道ではなく、車が通る林道を、てくてく、歩いていった。 牧場は、今がさかりの紅葉のころ。

牧場は、広々としていて境界線に白樺の樹林があるだけだが、遠くの山々は赤や黄色に色づいている。

そんな秋の景色も、みんな見慣れているせいか、海望三勇士たちは、しゃべりたいがために、牧場近くまで登ってきた。

林道が山に向けて、やや左に折れ曲がるところで、出会いがしらにクマとあった。

「わー クマだ!」。

大輔も広矢も、腰を抜かしそうになった。

岳斗は一瞬、思った。