芝居を数回観に行ったところで、全てがわかるはずはない。むしろ数回じゃ何もわかりはしないと言ってもいい。しかし、知らないまま続けても上達はない。実際、これを機に清水悠子の芝居は少しずつ変わっていき、何とか所属の査定には間に合った。
芝居は早いうちからやったほうがいい。それは過去の声優の経歴から見ても明らかだ。
一方で子どもに芝居を教える大人には覚悟がいる。声優になるということを若い子に教える、それは単にお芝居の基本やテクニックを伝えるということではない。プロを目指す子達に、芸事に向かう心構えを教えるに他ならない。
本来は中学校や高校で、美術や音楽、書道などと並行して演劇も教えてほしいものだ。その場合は演技の基本やテクニックなどを教えればいい。日本語の読解力も付くし、人前で大きい声を出せるようにもなる。
授業で演劇をやったことがあれば、将来プレゼンが上手な大人になるだろう。結婚式での挨拶の声が聞こえないような大人には絶対にならない。
子どもの頃は人前に出るのが苦手だった……そんな若者が声優になりたいと意を決して専門学校や養成所に通ったりする時、その子達からすれば、先生はどの年代に出会った大人よりも大きな存在となる。それは言わば人生の師だ。
これから世の中に出ようという若者に芝居を教える者はそのことを肝に銘じなければいけない。そして、教わる側も、師を間違えてはいけないのだということをわかっておかねばいけない。いい師に出会って、表現力を身に付けて、声優になる。素敵な声優になるためには、その師を見極めることが最も重要なのだ。