「いつも母がお世話になってますって。母も上に親切な人が引っ越してきて、買い物に行ってくれたりゴミまで出してくれたり本当にいい人だっていつも電話で話してるって」

莉奈がメロンを持って、立ち上がった。

「まさか。不知火さんが?」

「後ろからそのおばさんとやらも出てきて、あんた誰よ、っていうから、四〇二号室に遊びに来た友達だって言ったら、そうかいっていってしばらく考えてて」

それでね、ちょっとここで待っててっていってから家に入ってね、と莉奈は続けた。

「二人で食べてって、この豚まんもくれたの」

にわかには信じがたい話だ。これ北海道の赤肉メロンよ。けっこう高級品じゃないかしら。ひとこと言ってやろうと思ってたけど、いい人じゃない。台所から莉奈の声が飛んできた。

こんなにたくさんもらったら、またいろいろ頼まれるのではと思うと、気が重くなった。私に直接渡すと、いらないと言われると考えて、友人の莉奈に渡したのかもしれない。不知火さんならそれくらいの知恵が働きそうな気がした。莉奈が買ってきてくれたわさびの蓋を開けながら、鼻歌を歌って上機嫌な莉奈の後ろ姿を、ぼんやり見つめた。

次回更新は1月18日(日)、11時の予定です。

 

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