【前回の記事を読む】「努力すれば、なんにでもなれる…でも本当のことを言うと、それは真実ではありません。」校長先生ふくろうさんの、最後のお話。
第1章 森の動物たち
小鳥のピーコと若虎の王様
小さい皆さん、こんにちは。
今日は、小鳥のピーコと若虎の王様のお話をします。
ある森に虎の赤ちゃんが生まれました。まだ人の手のひらにのるぐらいの大きさで、ころころして大変にかわいい赤ちゃんでした。小鳥のピーコは、赤ちゃんの親と親しかったので、子虎ともすぐ仲良くなりました。
生まれたての赤ちゃんのときは、それはそれは面倒みがよく、お姉さんのようにピーコはその子虎の世話をしました。子虎が大カラスに食べられそうになったとき、親虎に知らせて救ってやったのもピーコだったのですよ。
でもしばらくすると子虎はすっかり大きくなって、ピーコはお姉さんのつもりだったのに、いつの間にか妹になっていました。いつしかピーコは子虎のことを「お兄ちゃん」と呼ぶようになっていました。
子虎はピーコのことを「ピーコ」と呼んでいました。一年二年と過ぎていくと、子虎はすっかりたくましくなって、三年目になると、森の動物を取り仕切る森の王様になっていました。
でも、王様って大変なのですよね。いつも威張りくさって、おいしい物を食べていられるなんて大間違い。朝早くから夜遅くまで森のもめごとのために飛び回って、息つくひまもありません。でもそんなときどれほどピーコが役立ったか分かりません。なんといってもピーコは大変な森の情報屋だったのですから。
若虎が王様になってから何年も何年も過ぎていきました。あるとき今までになかったような大飢饉がその地方を襲い、その森も例外ではありませんでした。その飢饉は食べ物が一度に三分の一に減ってしまうほどの飢饉でした。
そうした事態に若虎の王様は、森の動物の半分が森を出て行かねばならないと思いました。そして、誰が出て行くのかを決めるために競技会を開くことにしました。
そしてそこでの取り決めは、「競技をして勝ったものは負けたものより力が上なのだから森を出て行く。負けたものは勝ったものより力が下なのだから森に残る」ということでした。そうしたことにより出来るだけ多くのものが生き残れるようにしたのです。
いよいよ競技の日が来ました。森のすべての動物が集まって、一生懸命に競技をしましたよ。それこそ皆死に物狂いでした。森を出て行きたくて、そうしたのではありません。ズルをしたと思われるのが嫌で、死に物狂いで競技をしたのです。やがて夕方になると、勝ち組と負け組がはっきりしました。