生き物なんて大嫌い

娘は、小さい頃から生き物を飼うのが好きだった。と言っても、ご多分に漏れず最初のうちだけである。

初めは、お祭りの屋台で掬った金魚に始まり、ハムスター、そして今度は犬である。

「どうせ今までのように、直ぐに面倒を見なくなるからあかん!」と言うと、

「今度だけは絶対面倒見るから。朝夕の散歩も行くし、お風呂も入れるからお願い!」と食い下がる。

私は無視を続けたが、いつの間にか母親を陥れ、ある日、キャバリアの子犬を連れて帰ってきた。可愛がったのは1週間ほどで、案の定、理屈を捏ねてはさぼり始めた。

我が家では、生き物に関心があるのは、私以外一人もいない。

観葉植物が萎れていても誰も水をやらない。存在しないのと一緒である。

結局のところ、見るに見かねて仕方なく私が手を施す。家族を養うだけで精一杯なのに、何故か最後は私が生き物係になっている。

当のキャバリアは、私が嫌っているのを察してか、高級羽毛布団の上に何度もオシッコをした。嫌がらせ以外の何ものでもない。

9階のベランダから投げ捨ててやろうと思ったことは一度や二度ではない。

娘が大学進学で家を離れてからも、ずっと私が面倒を見続け、臨終の際には、私の側にすり寄ってきた。

生き物なんて懲り懲りだ。人間を養うだけで私は手一杯なのに。

 

 

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