かぶる

去年、白のフワフワフリースのジャケットが気に入って、衝動買いをしてしまった。胸には大きな紺色のポケットが縫い付けられていて、結構お洒落で気に入っていた。

ところが、今年の冬になると、他のメーカーも参入して、よく似たデザインのジャケットが、街に溢れているではないか。

皆少しずつデザインは変えてあるのだが、フワフワフリースの生地に、濃い色のポケットが胸に縫い付けられているのは共通だ。

いくら人気があって売れ筋とはいえ、各メーカーには節操というものがないのかと疑ってしまう。お陰で、今年は袖を通せなくなってクローゼットにしまい込んだままだ。

仕方なく、デパートの小さなブランドで、パーカーの付いた胸がダウン、袖はニットの辛子色のジャケットを購入した。なかなか見掛けないデザインだし、お洒落なので今シーズンは気に入って着ている。

ところが先日、ゴルフの練習場に行った時、ずっと向こうの打席から、親しそうな笑みを浮かべてこちらを見ている人物がいた。一瞬目を疑ったが、同じ服を着ているのだ。

「やめてくれよ、親しげにこっちを見るのは!」

私は、一切無視を決め込み、自分の練習に打ち込んだ。その彼が帰り際、チラッと盗み見すると、よく似てはいたが、袖の部分がニットではなかった。

何故かホッとした自分がいた。