焼きたてで美味しく優しい味だった。毎回パンは完売した。完売するまで売り続けるのだ。生徒たちから次の週に食べたいパンの注文も取っていた。

発達障害を持ったパン職人の方たちが重いパンを持ってきてくれる時の笑顔はきらきらしていて眩しかった。雨の日も暑い日も寒い日も、彼らの元気いっぱいの挨拶は私たちを元気にハッピーにしてくれた。そして、見習うべきものだった。

釜ヶ崎(日雇いのホームレスの人たちが多く住んでいる地域)にある教会をとおし、お米を寄付し炊き出しも手伝いに行っていた。

喜んでくれるホームレスの人たちもいれば、「お育ちの良いお嬢ちゃんたちが来るところやないでぇ」とお酒の小ビンを投げてきた人もいた。

だが、一人でも多くの人の役に立つなら、偽善だろうが何だろうが、やらないより絶対にやった方がいいのだ。私はそう思う。

部活動自体は充実していたが、一番頭を悩ませたのが部員数だった……。他の部活より地味であまり人気がなかった。

ある日、嬉しいことに一人の新入生が入部したいとやってきた。はつらつとした元気な新入生だった。私が入部の動機を彼女に尋ねたところ、彼女は、「就活の時に有利だから。でも、幽霊部員じゃなくてちゃんと活動はします」と答えた。

清々しい彼女の真っすぐで正直な答えに、即その新入生の入部を認めた。一か八かの決定だったが、功を奏して彼女は部に貢献してくれた。

次回更新は12月28日(日)、18時の予定です。

 

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