【前回の記事を読む】「今日という日は残りの人生の最初の日である」——年齢を重ねても「始める勇気」を持ち、新しい扉を開き続ける著者の生き方。

第1章 胡蝶夢号

2 胡蝶夢の意味

名前は荘子の胡蝶の夢にちなんで「蝶胡夢号(こちょうむごう)」とした。

人生第4コーナーを胡蝶夢号と伴走する。

人生は夢幻、10m2ほどの小さな空間で人生と向き合うこととした。

夢には以下のように、いろいろな意味があるようだ注1)注2)

1、文字通り、普段睡眠中に見る夢

2、若者よ夢を持て!など未来に対する前向きな意味、理想や己の高い目標

3、ゲームに夢中になるなど、何かに夢中になる状態、感情的にうっとりとなるような夢心

4、ドンキホーテの夢のように、現実から遊離した、足が宙に浮いているような、夢みたいな(博打みたいな)話、迷いの代名詞でもある。現実を直視して一歩一歩着実に歩むこととの対比としての意味

5、儚いもの、夢幻、無常感、「祇園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり」、豊臣秀吉の辞世の句「露と落ち露と消えにし我が身かな浪速のことも夢のまた夢」

6、金剛般若経に「一切有為法、如夢幻泡影、如露亦如電、応作如是観」――この世の中の一切の事象は夢の如く幻の如く泡の如く影の如く、露の如く、いなずまの如くであると観ぜよ。

だからこそ何が悪いとか良いとか騒ぎ立てずに、迷妄の世界から脱却せよ。「討つ人も討たれる人ももろともに」に現れている「死生一如」。地位も名誉も夢、寝るも起きるも夢、一切はすべて夢。すなわち一切の執着から脱却した平常無事の境地。

沢庵和尚の辞世の書「夢」:この世の一切は夢であり仮の姿である。人生を全うして悟りの境地に至った人は何事にも惑わされることはない。このような心境を「夢」一字に表現したのかもしれない。