数日後、私も不安だったので、妻に同行して医院に行った。何故か嫌な胸騒ぎがする。
待合室から看護師さんに呼ばれて診察室に入った。田中医師は顔を曇らせて「腫瘍マーカCA19-9の基準値は1000以下ですが2800もあります。異常に高いですね。がんの可能性があります。奈良総合病院に紹介状を書くので、そこで検査して貰って下さい」と言った。
私は目の前が暗くなるのを感じた。
利恵子も表情には出ていないが、驚いているのが分かる。
翌日、奈良総合病院に行き、MR検査をした。
結果は特に異常は認められないとの事。
でもそれはおかしい、私も利恵子も疑った。
息子が都島にある病院でPET検査する手配をしてくれた。
検査の結果、大腸がん腹膜播種と診断された。至急治療する必要があるとの事だった。
翌日、田中医院に行き、結果を報告したが、田中医師はMRで異常を認められないのに、大腸がん腹膜播種と診断されたのが解せないとの事。
後で気が付いたのだが、PET診断の所見のデータは貰っていなかったので、田中医師は詳しく知らない。加えて、がんの原発巣が虫垂にあり、奈良総合病院のMRには映らなかった。
異常なしと言うことでこのまま放置しておくのは私も田中医師も納得がいかなかったので、他の病院を紹介してもらい、結局、天理にある有名ながん専門病院に行く事になった。
次回更新は12月19日(金)、11時の予定です。
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