音は止んでいた。どうやら雷は離れていったみたいだ。咲に付いて部屋を出て玄関から外に出た。

「よ! 翔太! 久しぶりだな、元気か」

そこにはピカピカに輝いた真っ黒な大きなバイクにまたがった仁(ひとし)おっちゃんがいた。ヘルメットを脱いで汗を拭い、バイクから降りてくる。夏の太陽よりも熱気を帯びた黒光りした鉄の塊が、チリチリと弾けた音を出してそこに横たわっている。

「うわぁ〜いかつ〜。すっげー! これ仁おっちゃんのバイクなん? なんてバイク? すっげぇ〜な」

翔太は目を輝かせ、目の前に止まった鉄の塊に前後左右から、ハンドル、エンジン、マフラーの順にじっくりと見入った。

仁おっちゃんは翔太の父親の兄で、子供の頃からよく遊んでくれる大好きな叔父だ。

「どうだ、すげぇーだろ。HONDA CB1300 SC40、俺の相棒だ! ええバイクやろ。翔太! ちょっと乗るか」

「俺免許持ってへん」

「後ろにだよ! 家ん中に達也(たつや)のヘルメットがあるはずだから取ってこい」

「母さん、親父のヘルメットどこにある? 仁おっちゃんが乗せてくれんねん」

「ちょっと待って、確かあったはず。えっと……あった、はい」

「サンキュ! ちょっと行ってくる」

すぐに着替えてヘルメットを手に持ちバイクのところに出た。

「お兄ちゃん、おっこちたらアカンよ(笑)」

咲が冷やかした。ほんとは自分も乗せてほしいのだろう。

 

👉『風の絆』連載記事一覧はこちら

【イチオシ記事】「いい?」と聞かれ、抵抗なく頷いた。優しく服を脱がされてキスを交わす。髪を撫でられ、身体を撫でられ下着姿にされた。そして…

【注目記事】あの人は私を磔にして喜んでいた。私もそれをされて喜んでいた。初めて体を滅茶苦茶にされたときのように、体の奥底がさっきよりも熱くなった。