第一章
先輩と
「先輩、この画面の設定って、これで良かったっすよね?」
「そうそう、この仕様わかりにくいよね。うん、これで合ってるけど……これをこうやった方がさらに……よしっと。この方がスムーズにデータが流れるよ。まだまだだね」
「なるほど、勉強になります。あざっす!!」
金城翔太(きんじょうしょうた)は二十六歳。社会人四年目。ワールド・ネットワーク株式会社で企業システムのプログラム開発をやっている。
今回の開発では、画面の連動モジュールを任されていて女性の先輩と二人で画面周りを担当している。技術力はまだまだだ……。性格的には体育会系の営業向きだ。頭の柔らかいうちから自分のベースとなるスキルを身につけた方が将来武器になると考え、プログラマーの道を選んだ。
「金城は休みの日とか、ちゃんと息抜きとかしている?」
「いえ、特に趣味ないし、家でプログラムの勉強とかしてますよ(笑)」
「アカンアカン! オンとオフはちゃんと切り替えて休みはしっかり遊ばないと! じゃないとメンタルやられるよ。この業界は精神的に疲労する仕事だからね」
「マジっすか。バグ出さんようにせんと迷惑掛けるし、ちゃんとロジック理解しなって思って勉強してます。先輩は何か趣味とかやって遊んでんすか?」
「私は車が好きやから、休日は彼氏とあっちこっちドライブ行ってるわ。何かやってたことないの? スポーツとか何か?」
「学生の時、バンド組んでギターやってたけど、就職してみんな辞めました。俺も何か趣味作った方がいいっすかね」
「そやそや! 頭切り替える時間は必要だからね」