「いいけど、何で?」
「心配です。いつか……私に飽きて丈哉さんと別れる事になった時、生きていけなくなってしまう。その為にも必要なの」
「そうか、僕がどれだけ君に惚れているか分かるまでね」
「ごめんなさい。もう少し時間をください」
今日はお休みになっちゃった。丈哉さんの側でテレビを見ながらコーヒーを飲んでいる。そして丈哉さん、私の手を握っている。優しく。
三時のティータイム。
「今度は、僕の話を聞いてくれるかな」
「ええ、聞きたいです」
「僕は公務員の両親に育てられ、姉と二人姉弟で十年前に父、五年前に母が亡くなり、財産問題で今は実家には行き来していない。まぁ、姉弟の縁を切った。姉とは付き合いたくない。その前に、僕も九年前に離婚をした。離婚の理由は子供が出来ないという事だった。
結婚八年で子供が出来なくて、凄く悩んで、前の妻は産婦人科に行って自分は大丈夫だったから、あなたも調べてほしいと。僕は躊躇なく検査をした。ところが、精子の数がとても少なくて、子供は無理と結果が出た。
香子と同じだね、頭が真っ白になった。気軽に検査したはずが、妻に伝えたら、離婚してほしいと告げられ、いいよって答え、別々の人生を歩む事を選んだ。四十歳だった」
涙が頬を流れた。凄く気持ちが分かる。辛い思いをしたのね。
嗚咽となり、止まらない。
「辛かったね」と抱きついた。
「僕達、一緒だね。君も辛い思いをしたね。離婚の傷はあまり残っていない。彼女に子供が出来たと聞いてから安心した。本当に嬉しかったよ」
丈哉さんが愛おしくてたまらない。
「大人の恋愛ピックアップ記事」の次回更新は11月29日(土)、12時の予定です。
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