山に降った雨は必ず海へ流れますか

頭のいい人は学校では良い成績を残すので、周囲の人は後々きっと成功して素晴らしい人生を送ると考えがちです。でもこの本でも何度も書いているように、頭のいい人が必ずしも学校を出てから成功するとは限りません。それはなぜでしょうか。

山に降った雨はある程度の量が集まって水としての「流動性」を持たないと山を流れ下る能力を持つことができません。

人間も同じです。頭が良いだけではだめで、ある種の能力に秀でていないと多くの人を動かしたりまとめたりして成功という「海」に導くことができません。さらに山に降った雨が海に流れ下るには「高低差」、つまり位置エネルギーが不可欠です。

この位置エネルギーは人間にとって、その人を取り巻く外部条件といえます。どんな国に生まれたか。どんな家族に囲まれて育ったか。自分でどんな人間関係を作ってきたか。こうした外部条件は、その人が学校を出て社会に出たあと、成功できるかどうかに大きく関係してきます。

三つ目の条件は「水路」の存在です。

水は山の斜面の状態によってはスムーズに流れ下れないこともあります。そんなときに助けになってくれるのが「水路」の存在です。

「流動性」と「高低差」、この二つの条件をクリアし、偶然にもこうした水路に巡りあった水だけが晴れて海に流れ込むことができるのです。

人間にとっての「水路」とは前人が築いてくれた「道」や「方法」のようなものかもしれません。