【前回の記事を読む】「アア、死んだ」部活でランニング中、陸上部が投げた円盤が後頭部に当たり意識が朦朧の中、救急車で病院に運ばれ…

三、後頭部直撃の衝撃的な事故の回想

救急車が到着すると、待機していたストレッチャーに私を乗せてレントゲン室に向かった。レントゲン技師が可動式の撮影用台に私を静かに乗せて、頭部の正面、橫、斜めとレントゲン撮影をした。

直ぐに現像液でフィルムを感光させて写真を作成した。

外科部長がレントゲン室で現像した写真から怪我の状況を確認。

「動脈は損傷しているが、脳を損傷する血腫が見受けられない。奇跡的に動脈を損傷しただけで済んだ。これは、後頭部の骨の陥没によって出血した血液が脳外に搬出されたからだろう。固まった血液が血腫になって、脳を圧迫したりすることがないと予見できる。脳の働きを阻害する神経症が現れることはない。奇跡的な出来事だ!」

若い永井和夫医師は「神経の損傷も見受けられない。下半身が麻痺することもないと思われます」

血圧は低下しているので、出血性ショックによる表情を確認した。

表情はぼんやり、目はうつろになっていないかを確認。

皮膚は青白く冷たくなっていないか? 冷汗が出ているか? 唇は紫色か白っぽい? 呼吸は速く、浅いか? 脈拍は弱く、速いか?

私の容態を確認し、輸血の必要はないと外科部長が判断した。「点滴に造血剤フェインジェクトを添加してください」と峰岸看護婦に指示した。

外科部長は、傷の縫合措置をするため手術室に私を搬送するように三島良子看護婦に指示した。「先生わかりました。縫合の措置を直ぐにしますか?」と三島看護婦が返答した。三島看護婦は、私の後頭部の裂けた箇所を縫合するため頭髪を剃り落とした。

直ぐに円盤が当たって裂けた後頭部を縫合する作業を始めた。

永井和夫医師は、「大量出血で傷口は深いが血小板によって、損傷した動脈は塞がっているようです」と言い、外科部長が裂けた傷口の縫合を始めた。

その時私は、朦朧としながら「痛い」と反応した。

外科部長は「意識がある。裂けた傷口を縫合するところだ。我慢しなさい」

私は、医師の指示に従って、静かにしていた。傷口の縫合が終わると頭部の傷口を消毒して、包帯を巻かれた。病室で静養することになったが、個室がないため大部屋に搬送された。三島看護婦が私の下着を取り、病院指定の着衣に替えられた。