第1部 親の終活編
1.親の終活は最後の付き合い
1 老いても親は子には従わない
他人の親を見ていると、「あの子のお父さんとお母さん優しくていいな」とか、「私の父も、あの子のお父さんのようなタイプならよかったのに」などと思うことがあるかもしれません。でも、まず外面のよい親が一緒に暮らすとその通りであるということはほぼありません。ほとんどの親は外面とはかなり違っています。
親に育ててもらった子供として、多くの人がしないといけないと思っていることに親の介護があります。親がいないと自分は生まれていないし、育ててもらった恩もあり、ある意味介護は当たり前のことです。その通りなのですが、どこまで世話をするのか、どこまで手を出さないのがいいのかという線引きが大変難しいのです。
理由は簡単で、子供が親のことをわかっていないからです。育ててもらったからといって、高齢の親の本当の気持ちはわかりません。また親は自分自身の考えを子供にあまり話しません。
親の体は多少老化しているかもしれませんが、人生経験は当然に子供より豊富です。子供は見かけだけのイメージで判断して、親を壊れかけの人間のように扱ってしまいがちです。また多くの子供は、親は高齢になれば子供の言うことを聞くべきだとも思っています。
そのような間違った認識を植え付けたのが「老いては子に従え」ということわざです。もともとは、紀元前の女性向けのものらしいのですが、2000年以上前の考えを現代に当てはめようとすること自体かなり時代錯誤です。
親は老いたら子に従おうとはまったく思ってはいませんが、子供には親は歳をとったら子供の言うことを聞くべきだと思い込ませる効果はあったようです。
戦前までは隠居制度というものがありました。隠居制度は1947年に新民法で廃止されるまで行われていた家督相続制度で、生前に隠居するとすべての権利・財産が次代に譲られるもので、隠居すると何もできなくなるのです。それに反発する親もいたので、家庭が円滑に運営されるようにこの言葉が使われるようになったようです。
私の頭の中にも不思議とこの言葉は刷り込まれていて、最初はそういうものかなと普通に思っていました。
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