アイデアを育てるやり方

「集団あそび」をすることで「集団」を作っていきます。

ひらめいた人は自由に思いつくまましゃべっていいのですが、聞く方はその方のことばやしぐさの中から根になることを拾います。

逆に、枝葉を気にかけて先回りして「でもこんなことが……」「それって……」といった思考法は避けます。

次に「ひらめいた」人から「ひらめき」を離します。動機やひらめきを聞いた後に、丸テーブルの真ん中の空中にそのひらめきを浮かして、チームでそれを育てていくという感覚です。

個人から発生したものですが、その人もチームの一人としてあれこれことばを重ねていくという作業をしていきます。個人のひらめきや思いに固執し続けるより、異なった要素を注入して、配合していくことで芽は育っていきます。

要素は、目の前の粉雪を掌で瞬時に拾うがごとく。そうしなければ、地上に降りすっと消えてしまう。

『図鑑』では、月2回の割合でスタートして、思いつくことばをテーブルの真ん中に投げ出し、2ヶ月後の4回目に企ての「題」へ進むことができました。時間はかかりましたが「図鑑って、どう」のことばが、途中参加の女性から出てきました。

その思い付きに、みんなが「それ!」となりました。この瞬間に『ニシガワ図鑑』という企て名と、一つの「集団」も生まれました。

先月には、NPO法人の『合同部会』という仮名を、来年に向けて本名にする時間を持ちました。影絵と切り絵のワークショップ(そこで創られたものは『月恋ひ図鑑』で利用される)について打ち合わせ後に行いました。

大学生から私まで各年代がいて、あれこれことばが飛び交ったりする中、最後は「それ!」となって部会名は『三世代部会』、次に委員会名が『あそびのデザイン』と命名されました。

──一般には「よく考えてから話す」のがいいと言われるが、そんなことをしていたら、語れるようにはならない。哲学対話の第一のルールにある通り、「何を言ってもいい」のである。

だからとりあえず話す。考えずに返してもいい。もっと言えば、基本的には、話してから考えればいいのだ。 

いざ話してみると、そこから思考が言葉に導かれ、つながっていくことが多い。対話に参加している他の人が言葉を拾ってつないでくれて、ぴったりの言葉を見つけてくれることもある。もちろん自分の中で言葉を探し、選び、それからしゃべってもいい。(梶谷真司『考えるとはどういうことか』 幻冬舎新書 2018年)

 

👉『企画と集団のはざまで』連載記事一覧はこちら

【イチオシ記事】夫の不倫現場に遭遇し、別れを切り出した夜…。「やめて!」 夫は人が変わったように無理やりキスをし、パジャマを脱がしてきて…

【注目記事】認知症の母を助けようと下敷きに…お腹の子の上に膝をつき、全体重をかけられた。激痛、足の間からは液体が流れ、赤ちゃんは…