【前回記事を読む】なぜあなたは表現せずにいられないのか?――人生を動かす3つの力とは

第1部 理論編・企画を解明する

第一章 樹に学ぶ

第二節 アイデア(芽)

芽:植物で、種子・枝から生じたばかりのもの

 「芽」は、植物を表す「艹(くさかんむり)」と、動物の歯を表す「牙」を組み合わせてできている。食物が土から先端を突き出す様子と、「牙」がもつ力強い印象を重ねてこの字が生まれた、とあります(Google検索より)。

芽が出る時(ひらめきが生まれるとき)は、種に蓄えられたものと根が「イマ」吸収したものが化学反応して、そのエネルギーが「形」(イデア)となって表出した瞬間です。

きっかけ(切っ掛け)

きっかけ: 動作の終わりを表す「切る」(使いきる、やりきる)と、動作の最初を表す「掛ける」(電話をかける、メガネをかける)から。ひとつの動作が終わり、次の新しいアクションを起こすこと(Google検索より)。

自分の場合は、38歳の時に「芽を出す」タイミングがやってきました。人生思わぬことの連続でしたが、よりによって女子中学校の一年生の担任になってしまいました。

高校の一年生から三年生までの担任を2度繰り返し、少し慣れてきた矢先に中1の担任になりました。授業も週に5時間あります。

もっとも遠い存在の女子中学生のエネルギーに満ち満ちた複雑な集団に出会ってしまった。その環境に身を置いてしまった。そこで仕方なくその環境に適応するために、自分から芽(クラス全員で、教師も一緒に影絵を創る)を出したのです。

そうでもしなくては関係性が構築できずに、さまざまな支障が起こることは想像できました。

風がもたらすであろう寒さから芽を出したのです。思春期の中学生が生み出す集団への対応はやっかいです。教師が適職と思い大学の選択から準備してきたのなら生き甲斐を感じたり、指導力や包容力や忍耐強さがあれば集団を導くことができたりしたかもしれません。

高校生以上になれば「退学」や「単位不認定」といった手段もありますが、中学まではありません。

手ぶらな自分にとって、1年前にたまたま研修で知った「影絵」に挑戦してみようと思ったのです。そこで、その実践記録の本を参考にして、見よう見真似で相担任の先生と始め、やがて全学年(150人)へと広がりました。

「影絵づくり」は、数年かけて中学校の集団の「あり方」の見直しにまで波及していきました。根に「クラス、学年単位」への疑い、「部活動至上主義」への憤りがありました(詳しくは第2部第一章 学校にて)。

それから20年、退職後には「声をかけて」くださる方が続き(その時それぞれに集団としての「きっかけがあった」ことは後で知る)、それをきっかけに公共施設で幾種類かの「企て(芽)」が生まれました(詳しくは第2部第二章 実例の前半)。

それから10年後には、ホールの指定管理者のところに「声をかけに」行きました。行政から民間に指定管理者が代わり、新しく船出をしている矢先に訪ねました。

今ではNPO法人という集団と2種類の企てが生まれています(詳しくは第2部第二章 実例の後半)。