彼には相応しい 実に釣り合いの取れている女性だと 自信をもってお勧めしたのに
彼は「悪くはないけど 何か違うんだ」とか 偉そうなことをほざいて断ってきた
彼はもう三十代後半 そんな悠長なことを言っていられる立場か
でも 彼はどうしても理想を捨てられずにいる 自分を客観視できないようだ
「何もかも君にとって都合の良い そんな人いるわけないよ」って
何度も忠告したのに 全く聞く耳を持とうとしないんだ
端(はた)から見れば 彼は 無理して背伸びをし 遠くばかりを見て 周りに素敵な女性がいることに気付かない 面倒臭い奴彼は相変わらず こだわりを 捨てきれずにいるし
リアルな女性と一向(いっこう)に向き合おうとしない もはや滑稽(こっけい)に映るよ
結局 彼は 一生独りぼっちで
数十年後 薄暗い自宅の寝室で孤独死しているのが発見されたのさ
「君はそれで幸せだったのかい?」って 最期に聞いてみたかったよ
逆だったら良かったのに
モデル 義憤(ぎふん)に駆られやすい人 四一歳
私のかつての恋人は
気だての良い 優しい人でした いつも朗(ほが)らかで 上品且つ謙虚で 周りの雰囲気を和(なご)ませてくれる とても素敵な人でした
でも ある日突然 事件に巻き込まれて 命を落としました
私は思わず叫びました 「こんなのおかしい」とこの世の中には もっと他に 下品且つ傲慢(ごうまん)で
相手を不快な気持ちにさせてばかりいる人なんてたくさんいるのに