スタートアップ界では重宝される一芸に突出した変わり者では、残念ながら大企業では生き残れないでしょう。大企業の従業員は、社会のマジョリティが求める人格を備える必要があるのです。

その人格を持って、多くの上司、同僚、部下、さらには取引先と、密に、常識的に接していく。これが非常に重要です。

時折、大企業でも社会性に欠ける剛腕が出世していくケースもあります。手段は選ばずに結果を残すことで、一部の上長の庇護を受け、出世への階段を登っていく。ただ、そんな方の階段は途中で切れるようにできているのが常です。

大企業において、立場が上がるほどに高度な社会性が求められる時代になっています。この傾向はもはや不可逆でしょう。

反対に言えば、社会性に欠ける人材はリスクでしかない。誰よりも常識的に振る舞えないといけないのです。

リスクヘッジできる能力があり、計画主義を全うでき、そして何より社会性が溢れている。

そんな方々が大企業に見出され、出世していきます。そして、出世街道の先に、より慎重に株主と向き合うポジションが待っています。

大企業に採用され、出世していく人材に関する3つの条件を紹介しましたが、重要なポイントについて念を押したいと思います。それは、既存の大規模成熟事業の滞りない推進が前提になっているということです。

言われれば当たり前なのですが、採用基準も出世に関する昇格基準も「既存の大規模成熟事業を上手く回せるか」で決められています。

新たな事業創造を考慮したものではありません。過去に比べれば、多少は新たな事業創出を見越した採用・登用をしていると言う人もいるかもしれませんが、スタートアップのそれらとはまったく事情が異なります。