事例2 押しの強さに負けないしなやかさで問題解決!

私がある店の店長をしていた時の話です。マンションの1室に年の離れた新婚カップルが入居されました。入居してしばらく経つと、お店の閉店直前に決まってこのご主人から、隣人への騒音に対する苦情電話が入るようになりました。

担当社員はその電話に短くても1時間は捕まってしまうようになりました。ご主人は、日中に電話が入り担当社員が外出していると、わざわざ時間を指定して、その時間に必ず電話をしろ、と言うようになりました。

担当者も対応に苦労し、疲弊していました。このままでは担当者が潰れてしまう、と判断し、私自身で対応する事に決めました。そして翌日より担当社員に代わり私が電話で次のように話しました。

私「お客様が言われる騒音がどの程度の騒音なのか確かめる必要があるので、音を録音してお聞かせ頂けないでしょうか?」

ご主人「なんで俺がそんな事をしなあかんのや? こっちは被害者やぞ! 嫁も毎日悩んで困っとるんや。あんたら管理会社やったらあんたらが対応するべきやないんか? 訴えてもええんやぞ!」

ここで「訴えてもええんやぞ!」と言われても決してひるんではいけません。「いや、それは勘弁してください」などと返したら完全に相手の思うツボです。そこで私は次のように言葉を返しました。

私「訴えるのはお客様のご自由ですのでどうぞ訴えてください。但し誰を訴えるのですか? 騒音を出しているのは私達ではないですよね。相手も特定できていないのに誰を訴えるのですか?」

ご主人は私の反論に戸惑った様子でした。この方は恐らくこれまで他人との会話において主導権を握ることが多かったのでしょうが、私はそうは行きません。往々にして威勢よく「訴えるぞ!」と言い、実際に訴える人はまずいません。

続けて私は「それなら私達が訪問させて頂くので時間を指定ください」と伝えました。

ご主人「時間は深夜や、そんな時間はお前らも来ないやろ!」

私「いいえ、深夜でも行きますよ」

私の強気の言葉に相手も少々ひるんだ様子でした。

ご主人「じゃ夜の11時に来れるんか?」

私「ハイ、分かりました。行きます」

この日は、日時を決めて電話を終えました。

 

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