【前回記事を読む】作っていたのはまさかの爆弾⁉ 入居前に発覚した過去のトラブル。管理会社が不審に思った理由は…
第一章 管理会社と賃貸物件
騒音トラブル
具体的には左記が生活騒音の相談として多く寄せられます。
・赤ちゃんの泣き声
・子供をはじめとする室内での足音
・網戸や扉を開閉する音
・目覚まし時計の音
・隣室の住人の話し声
・夜の営みの声
・夫婦喧嘩の声や子供を叱る声
管理会社としては「しゃあないやん!」「それぐらい勘弁してくれ!」「どれだけ耳がいいの!」と言いたいところですが、そうはいかないのが現実です。以前こんな苦情が寄せられました。
事例1 お疲れの方はご注意を!
あるマンションにお住まいの女性入居者より、ものすごい剣幕で電話連絡が入りました。ある土曜日の16時頃でした。
「上の部屋よりTVの音が大音量で聞こえてきてものすごく迷惑してるのよ! 早く来て止めさせてちょうだいよ!」
私は急いでマンションに車を走らせ、女性に指摘された上階の部屋の玄関前に立ちました。しかし、中からは何も聞こえて来ませんでした。その後、電話をしてきた女性を訪問しました。
私「管理会社の者ですが、今は何も聞こえて来ません。もう止んだのですかね?」とたずねると、
女性「あなたにはこの音が聞こえないのですか!」とすごい剣幕で言われ、何も聞こえない私は内心驚きましたが、耳を澄ますと、かすかにTVの音がようやく聞き取れました。
「この音ですか?」と尋ねると、その女性は「そうです!」ときっぱりと言いました。
内心「困ったなあ」と思いながら丁重に、「この音量であればとても騒音とは思えないのですが?」と言うと女性は、「じゃあ私に我慢しろ、と言うのですか?」と食い下がります。
ここで「ハイ、我慢してください」と言うとさらにヒートアップするのは明白なので、さらに丁重に、
「大変申し訳ないのですがまだ時間も17時前ですし、外を歩く人の靴音や話し声より小さい音量なので、我慢するレベルでもないと思うのですが……」
と伝えると、女性は押し黙ったまま何も答えません。思い切って私の方よりこうお尋ねしました。
私「お客様、もしかするとお仕事などでお疲れではありませんか?」
女性「確かに疲れています」
私「そのお疲れが原因で神経が過敏になって些細な音でも大きく感じるのではないのでしょうか? ゆっくりお休みになったら良いと思いますよ」
女性「分かりました。そうします」
これでなんとかこの一件は終了致しました。次に、もう一つ事例を紹介します。