夏場はそんなキュウリ、ナス、トマト、カボチャ、ピーマン、いろんなものの収穫をします。それが終われば今度は秋野菜です。10月の初めから、大根、その他の菜っ葉もの、柿の収穫、11月は今度は、玉ねぎの植え付け、で、1年がまわります。この繰り返しです。ま、その途中には、草取りばかしです。

そんな百姓のめぐりの中で、感じたいろんなこと、書いていきます。

8月から9月は、すいません、お百姓ちょいとサボっています。

「竹灯り」というイベント、もう、16年続けています。約2万本の竹灯篭に、ロウソクを灯して、暖かくて幻想的な光景を、生まれ育った藤原への恩返しがわりに楽しんでもらってます。この本の中にも「サンクチュアリ」という名前が出てくるかも知れませんが、この竹灯りイベントをやっている、管理釣り場の名前です。

この準備は、歳をとったこともあり、6月くらいからぼつぼつ始め、本番は9月後半です。数か月かかって、孟宗竹を切り出し、それを斜めに切ったりし、だいたい一人で並べます。数年前からは、バカの本性がさらにうずきまして、(天気が悪くっても、何か楽しんでもらえるよう)お化け屋敷をやってます。アタシャ、イワオですから、お岩さんのお化けは得意なのです。

お金は一切とりません。ただ「ロウソクの灯りの美しさ」を追いかけています。イベント当日に雨が降ったら、風が吹いたら、その数か月間は、おじゃん……で泣けてきます。2023年の竹灯りも、初日はキレイに灯りましたが、2日目は街じゃ晴れてたのに、この地だけがスコールみたいな雨が降りました。アタシャ、お化け屋敷の中で、お化けでありながら、屋根を叩く雨音に、泣いてました。

でも、よくよく考えれば、こりゃ「イワオよ、まだまだオマエの生き方が足りんのじゃ。また、来年やり直せ」って、何かおっきな存在に言われてるみたいな気分に、あとになって気づくのです。

そんな、悲喜こもごもを詰込んだような本ですが、「まだ、こんな感覚持ったおっさんがおったんか、な、何か懐かしいのう」と笑って思っていただけたら幸いです。

いらっしゃいまし。

 

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