第2章 平成のゴッドハンド 人生100年時代を生き抜くための健康と医療を語る

治らない三種の神器

中村:やはり、それでは治りませんか?

溝口:治るわけがありません。たとえば、さっき言った膝の治療。変形性膝関節症など膝に障害を持つ多くの患者が、こういった治療を受けるために通院されています。この治らない三種の神器と10分程度の電気治療などだけで治るのなら、「皆さん、そこへ行ってください」と私は言いますよ。

ヒアルロン酸の注射を打っても、根本治療にはなりません。そこで何が一番問題になってくるかというと、時間です、時間。

そういった治療を受けている間にも間違いなく時間だけは過ぎていきます。根本治療ではないのですから、膝は悪化の一途を辿るばかりです。それも手術するレベルにまで。

気づいた時は患者の一人負け状態です。それでいて「1カ月後にまた来てください」ですからね。治す術や治す気がないのですから、何のための「また来てください」なのでしょうか?

悪化の進捗状況を確認するためのもの? 個人医が大手病院へ紹介状を書いて送り込むタイミングを見計らうための定期的な検査・診察?

そういう時間を費やすのであれば、大事に至らないための治療を受けさせるか、検査機器も治療も整備されているところに送り込むか、次につながる何らかのアクションを起こすべきです。いたずらに時間をかけるのだけは避けてほしいですね、医者も患者も。