【前回の記事を読む】今の自分を変えたい人へ——年齢も境遇も問わず「こうなりたい」を叶える、行動変容と目標達成するために必要なこととは…

はじめに 本書で伝えたいこと

2 本書の目的

② モチベーション探求者として

著者がこうしたテーマに強く関心を抱くようになった原点は、自身の経験にあります。

学生時代、自らの下宿で中高生向けの私塾を開き、いわゆる〝やんちゃな子たち〟と日々向き合う中で、「どうすれば人はやる気になるのか?」という問いに向き合う日々を過ごすようになりました。

自分自身もまた、決して勉強好きな学生ではなかったことから、やがて人の意欲やモチベーションのしくみに強い関心を持つようになりました。

「人が働く意味」や「働くモチベーション」というテーマへと関心は広がり、大学では、「高齢化社会における高齢労働力の有効活用」を卒業論文のテーマとして選びました。

大学卒業後はメーカーに就職し、営業職として一定の成果を上げる一方で、「ノルマによって〝やらされる〟管理」や「出世競争」に疲弊する上司たちの姿に違和感を覚えるようになりました。

「この働き方が、自分の望むものなのか?」─働くことの意味を改めて問い直した結果、父が創業した人事労務専門のコンサルティング会社へ転じることを決意しました。

以降は、目標管理・人事評価・モチベーション・組織開発・リーダーシップ・人材育成・コーチング・賃金管理などを専門に、「人と組織がいきいきと働くための仕組み作り」と「心構えの醸成」に向き合ってきました。

これまでに、100社を超える企業へのコンサルティングと、1200回以上の講演・研修に携わってきましたが、現場で改めて実感するのは、「目標とは、他人から与えられるものではなく、自ら〝やる〟と決めたときにこそ、パワーを持つ」ということです。

③目標達成への指針と勇気を届ける

さて、「目標を達成するまでのプロセス」において、結果に大きな影響を及ぼす要因があります。

詳しくは『読後ガイド 目標達成の6つの要因』で説明しますが、ここでも簡単に触れておきます。まず、「動機」が原動力となって『願望』が生まれます。

それが、「性格」や「思考」を通じて方向づけられ、『目標』として明確化されていきます。その上で、「態度」や「能力」を通じて、「行動」が実践されます。

すなわち、動機・性格・思考・態度・能力・行動─この6つの要因は、目標達成において重要なカギを握るのです。「目標を達成できる人は、これら6要因それぞれにおいて〝優れた特性〟を備えている」のに対し、「いずれかの要因において〝劣った特性〟を抱えたままだと、目標の達成は困難になる」と言えるでしょう。

本書の目的は、目標達成人の生きたケースを通じて、『目標達成に不可欠な特性』を読み解いていただくことです。さらには、その学びを通じて、読者が「自身の願望を目標へと具体化し、達成に向けて行動を起こすための指針と勇気」を手に入れることを、心から願っています。