第1章 ヒューマンエラーはなぜ起こる
2、m-SHEL モデル
2-1.m-SHEL モデル
それでは、中心の人と周囲の各要素との関係について、“うまく噛み合わない状態”とはどういうことなのでしょうか。作業現場を例に説明します。
①L-S間の関係例;softとは、“マニュアル”や“手順書”、“ルール”などです。ここで“うまく噛み合わない”とは、中心の人がマニュアルや手順書の意味を充分に理解できていないということです。
更に、マニュアル側の不具合である“作業が煩雑であること”や、逆に“注意力を持続できないほど作業が単純すぎる”などの作業難易度の不一致も“うまく噛み合わない” 状態だと言えます。
注意が必要なのは、“手順書そのものがない”、又は用意された“作業標準・作業基準そのものが順守できる条件でない”、“文書が稚拙” などのソフト側に問題がある場合も含むことです。
②L-H間の関係例;工場を例に挙げると、“監視機器などの性能が悪い”ことや“管理する設備の機能自体が適切でない(機能がマッチしない)”など、機器側に問題がある場合です。現場の掲示において“表示が見にくい”、“基準値の表示がなく、決められていることが分からない(規定された数値の表示がない)”などについても該当します。
③L-E間の関係例;気温、照明、騒音などの作業環境が悪い場合です。更に、職場の安全性や生産性を高める目的で行う、整理(Seiri)、整頓(Seiton)、清掃(Seiso)、清潔(Seiketsu)の4つの活動、つまり4Sが不充分な状況や、無駄に邪魔物・障害物がある場合もこの関係での不整合と言えます。