骨格筋を収縮させるには、中枢神経から動きの指令が脊髄前角の運動ニューロンに伝わり、そこから筋線維に伸びている運動神経を通って筋線維(筋細胞)に向かうが、運動神経と筋線維との接続部を神経筋接合部といって、そこに活動電位が到達するとアセチルコリンが放出され、筋線維膜に活動電位が発生し、筋線維の短縮が起き、筋肉の収縮が生じる。ちなみに一本の運動神経は、骨格筋に到達する直前で分岐し、複数の筋線維に到達する。

一個の運動神経と、それが支配する(活動電位を与える)筋線維(筋細胞)を運動単位といい、一個の運動神経に支配されている筋線維の数を神経支配比という。ある一つの筋肉を収縮させるための脊髄前角細胞の運動神経の集団を筋単位という。

通常、筋単位としては、数百の運動神経が所属している。そのうちの一個の運動神経が支配する筋線維の数、つまり神経支配比は、数本から数百、千数百本というように、その数にかなりの幅がある。

一般的な傾向として、細い小さい筋の場合は、一個の運動神経が支配する筋線維の数が数本というように少なく、細かい精細な運動に関与し、太く大きい筋の場合は、一個の運動神経が支配する筋線維の数は数百とか千数百本のように多く、より高い張力が必要な粗大な運動に関与する。

脳の領域と機能

脳の領域の大きな区分として、前頭葉、頭頂葉、側頭葉、後頭葉がある(図2)。後頭葉には視覚の中枢である視覚野がある。目(網膜)から入った視覚情報は、まず後頭葉の一次視覚野に入る。その後、対象物の視覚情報のうち、それがどこにあるのかという対象物の位置や方向、動きなどの情報は、背側経路を通って頭頂葉に向かって処理される。

 

また、その対象物が何かという、物体の形態や色などの情報は腹側経路を通って側頭葉に送られ、情報処理される。そしてこれらの情報が統合されることによって、対象物の形態、色、位置、動きなどが認識されることとなる。

頭頂葉は、基本的に感覚の中枢である。前方に第一次感覚野(体性感覚野)、その後方に頭頂連合野がある。頭頂連合野は頭頂間溝によって上頭頂小葉、下頭頂小葉に分けられる。

体性感覚野へ入る感覚としては、まず表在感覚(皮膚の感覚のことで、触覚、圧覚、温覚、冷覚、痛覚など)がある。触覚や圧覚は皮膚にある機械受容器が刺激されて感知される。機械という用語は、受容体が押されたり(圧迫されたり)、引っ張られたり、こすられたりという機械的な刺激に対して反応するという意味で使われる。


(1) CLINICAL NEUROSCIENCE Vol.41 2023年02月号「骨格筋のすべて―メカニズムからサルコペニアまで」中外医学社

 

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