更ける夜、トマホーク移送

灰色の波間に佇むアメリカ軍の駆逐艦が、鋼鉄の巨体を水面に浮かべている。夜更け後の港には冷たい風が吹き、空には薄雲が広がっている。駆逐艦の甲板上では、数人の兵士たちが忙しく動き回り、その中央には黒く光るトマホーク巡航ミサイルの筒型コンテナが鎮座していた。

ミサイルは慎重に操作され、クレーンで吊り下げられている。

駆逐艦のすぐそばには、自衛隊の迷彩塗装を施された大型トラックが停車していた。周囲には、陸上自衛隊員と米軍兵士が厳しい表情で立っており、移送作業を見守っている。誰一人として声を上げる者はいない。緊張感がその場を支配していた。

「クレーン、速度20%減速! 慎重に!」

甲板上のアメリカ軍士官が無線で指示を飛ばす。巨大なクレーンのアームが低く唸りながら、トマホークのコンテナをゆっくりと降ろしていく。コンテナの外側には注意喚起の赤い文字で「HAZARD」と書かれており、その存在がただならぬものであることを物語っていた。

トラックの荷台に近づくにつれ、作業員たちの動きが一層慎重になる。トラックの後部には、衝撃吸収用の緩衝材が敷き詰められており、コンテナがしっかり固定されるように準備が整えられている。

 

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