「ならば作戦は二段構えだ」カイザーが冷静に判断を下した。「妨害電波が失敗した場合、戦闘班が直接介入する。ドローンを囮に使い、混乱させる時間を稼ぐ。その間にコンテナを確保する」

「移送手段は?」グリムが尋ねる。

「ヘリコプターだ」カイザーは、次に設計図を広げた。そこには大型輸送用ヘリの図面が描かれていた。「我々が準備した特殊車両にコンテナを積み込み、その車両ごと吊り上げる。ヘリはこの区域で待機する」地図の端に描かれた山間部の一角を指す。

「搬送にかかる時間は?」リリーが再び問う。

「現場からヘリへの積み込み完了まで10分。その後、ヘリで安全圏まで飛ぶのに30分だ。追撃を受ける前に、国際水域に向かう輸送船へ運ぶ計画だ」

メンバー全員が頷き、作戦の概要が決定した。残りは実践的なリハーサルだ。トラックと警護車両の配置を再現した模擬セットで、ドローン操作、電波妨害装置のタイミング、戦術班の侵入経路を徹底的に調整する。

最後にカイザーはメンバー一人一人を見回し、短く言った。

「覚えておけ。これは命がけの強奪作戦だ。だが、プロとしての完璧な計画があれば成功率は飛躍的に上がる。無駄な動きは許されない。成功すれば我々のクライアントからはたっぷり報酬がもらえる。もう危ない橋を渡らなくて済む。引退できるぞ」

その言葉に、全員が無言で頷き、視線を交わした。作戦開始まで、残り36時間――。