うぅーん。気に入らない———。
「お母さん。友達と食べてきたから、お風呂先に入るね」
雑多な気持ちを振り払いたく風呂に向かう私に、兄の言葉が追いかけてくる。
「柚子まだ話があるだろう。ちょっと来なさい。確かめることがある」
「お兄ちゃんいい加減にして。お義姉さんにもこんなふうだと嫌われるよ。私は学園祭の後片付けで疲れているの。お父さん! 何とか言って」
「そうだよな。柚子が違うって言うんだから。隆弘そんなに目くじら立てちゃいかんぞ。柚子も高校二年なんだから信じてあげなくちゃ。なぁ柚子ちゃん」
「そーよ。ありがとうお父さん。じゃお風呂入ります。あっお母さんお風呂上がりにアイスが食べたいの、あるよね?」
「うん、あると思うわ。なかったらコンビニで買ってくるね」
「ありがと。お母さん大好き」
「お父さんは?」
「勿論、大大好きよ」
「そうか。ふふふふーぅ」
「まったく! 二人は甘すぎるよ。柚子もそれが当たり前だと思っているところが心配なんだ。少しは問いただして厳しいときもあった方がいいと思うよ」
「それこそまったく隆弘は心配性なんだから。新婚なんだから紗枝さんのことだけ考えてなさい。こっちは大丈夫だから」
「どう考えても大丈夫じゃないよ」
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