【前回記事を読む】初の医療ウィッグ製作の依頼を受注! 電話でカウンセリング後、お客様ご希望のボブスタイルの製作へ
第一章 再現美容師の仕事
記念すべき……お一人目
下準備したエピテーゼ医療ウィッグさん。1番目は黒目の色、この色味のボブスタイルは何度か製作した事があるけれど、ほんまに綺麗!!
ボブって一番簡単なスタイルって、スタイリスト上がりたて時代に思ってたけれど、それは大間違いって事を今めちゃくちゃ感じているわたし。ボブスタイルってめちゃくちゃ奥が深過ぎる……。
多彩な技術使えれば使うほどに、色んな髪の毛の表情を窺える。手を入れた時、風になびいた後の毛流れ、動きにくいボブスタイルを如何に動きのある質感に仕上げていくのか、 その方に似合う長さの設定……。
コレを鏡を見ながら決めていくのは、めちゃくちゃ集中力が必要になる。コレが本当に命懸け。 ボブスタイルって、可愛い系、綺麗系、個性派系、前下がり、前上がり、後ろ下がり……頭で考えてるともう、珍紛漢紛になってしまうからやめておこう(笑)。
ご来店前、自宅でのシャンプー時に一気に脱毛が襲いかかったとの事。家中髪の毛だらけになるとストレスになるから、産毛で使いたい部分のみ残して……。
後はご苦労様でした。今まで支えてくれてありがとうございました。
抗がん剤投与後の髪の毛は、髪の毛本来の自然な艶も失ってしまいます!! そして、そして毛根が閉じてしまい、髪の毛がパラパラと。根本の支えが無くなるからね。引っ張らなくてもスルスル、髪の毛が落ちていく……。副作用の、脱毛。
悲しいと思うのか? それとも「おぉぉ、薬が全身に巡り回った素晴らしい証!! がんを叩けたぞ!!」と喜べるのか?
わたしもM様も、もちろん、後者。