この力、歩んできた道は本物だ。そう証明するために、是が非でも勝たなければならない。世界で勝つため、ではなく、五輪で金メダルを獲るために、日本フェンシング協会の東京2020対策委員会委員長として齊田は変わらず奔走した。

JISSだけでなく、NTCにもフェンシング専用の練習場をつくることになった際は、世界の強豪国とされる国々はどんな環境で練習しているのか。イタリア、フランスを当時の会長星野正史氏と視察。その過程で出会った人物の才覚に着目し、新たな委員として招聘するなど、ソフト面、ハード面で環境整備に努めた。

日本フェンシング協会内では自らが動き、五輪の中枢、組織委員会には長年日本フェンシング協会の国際委員会で活躍、FIEからの絶大な信頼を得て東京五輪招致でも活躍した、加藤裕子をスポーツマネージャーに起用。

かつての栄光にすがるばかりでなく、これからにつながる大きな一歩とするために、若い力は不可欠だと考えた。

「少し嫌味な言い方をすると、東京五輪では多額のお金が動く。なおかつ華やかで、こんなことをやった、と肩書きを自慢することもできるから、それなら自分がやりたい、という人もたくさんいたはずです。でも、それじゃダメ。これからを見据え、理念があり、行動力、語学力と抜群の能力がある。

そんな人間は彼女しかいなくて、彼女がつくるチームこそが、フェンシング界としてもこれからにつながると思いました。日本フェンシング協会と組織委員会は近いようで遠いから、僕らにはタッチできないことも彼女なら託せる。中のことは頼むよ、俺も全部支えるから、という気持ちでした」

だが、予期せぬ事態が起こる。

 

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