第四章 不運が招いた縁

ある日の夕方、雨が降りそうだ。

「四時三十分、IT会社ファストケイの安岡社長と打合せです。三時四十分に会社を出ます」

「分かった」

会社を出て十五分後、信号待ちの時、後ろから凄い音で追突された。シートベルトをしていたのが幸いで、大丈夫だったが、足が痛い、

「山田さん、高木、大丈夫か!」

「ええー、大丈夫です。副社長は……足が!」

「足を、やったみたいだ!」

「救急車を呼びます!」

追突した車の人も、ケガしているようだ。

十分後、救急車が来た。

「副社長、大丈夫ですか!」

「高木、安岡社長に連絡して。急用が出来たから打合せの変更を、と。日程を改め、松田総本部長に引き継いで。決して、ケガをした話はするなよ。君と山田さんは会社に戻って報告して。それと妻に連絡して。ケガはたいした事ないから、社長にも心配ないと伝えて!」

「こんな時も冷静な副社長。会社は大丈夫ですから!」

そこへ救急車が到着した。

「奥様、高木です。今、車に乗っていて、後ろから追突されてしまって、副社長は足をケガされて、中央病院に行きました。心配しないようにと言っていました」

「えっ! 主人のケガの状態は!」

「大丈夫です。仕事の指示も頂きましたので。さすが、冷静です」

「連絡、ありがとうございます。中央病院ですね。行ってきます!」

自分に大丈夫、大丈夫と言い聞かせて、急ぎ準備して、病院に向かった。

病院に着いて、受付で確認して病室に行った。