4 ピアノを弾かない子どもには
私の教室では、1週間全然練習せずに来る子どもが割といます。それでも柔軟に弾いてくれるし、そんな子どももコンサートの前は一生懸命練習します。
いざとなったら出来る子です。何故ピアノを弾きたいのか、何故弾かせたいのか、家庭の考えや本人の考えもあるので、家での練習について私はとやかく言いません。
自分の子どもにもとやかく言っていないのに、人様の子どもにとても言えません。しかし教室で全然弾かないとなると話は変わってきます。それは私の子どもも同じです。
先日スキー場で、「もっと力入れて!」など怒鳴りながら我が子を教えているお母さんがいて、子どもがかわいそうだなぁ、なんて眺めていました。
でもその後、「出来たー、お母さん出来たよー」と抱き合う姿を見て、かわいそうと思った私が間違えていたと思いました。
なんとか滑れるようにしてあげようと一生懸命指導してくれるお母さんを持って幸せな子だな、と思いました。
傍若無人に動く自分の身体をもてあます子どもよりも、自分の身体をコントロール出来ることを知った子どもは幸せです。
私は自分の子どもには、コンサート前を除いて普段は熱心に練習させることはありませんが、お母さんによっては毎日必ず30分弾きなさい!と子どもにはっきり言う方もいます。
そんな子どもは30分弾けるだけのピアノの宿題を持って帰ります。私の教室は練習曲でも気持ちの乗った曲しか渡さないので、少ししか渡さないと「退屈になるからもう少し出して」と言ってくる子もいます。
子どもは30分弾くことに疑問はありません。お母さんに厳しく言われているからです。毎日30分弾くとかなり上手になり、しまいには楽しくて30分どころかいつまでも弾いているようです。そうなると厳しく言われてあたりまえになっている子どもは幸せだなと思います。
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