【前回の記事を読む】プレストレストコンクリートの基本・設計・構造特性を徹底解説! ひび割れ制御・耐久性・経済性を考慮した近年の設計方法とは?
序章 プレストレストコンクリート
1.プレストレストコンクリートとは
1 . 2.構造上の特徴
(3) プレストレスの作用
これによれば,はりの上縁側に圧縮応力度,下縁側に引張応力度が生じる.すなわち,コンクリートは引張力に弱い材料であるため,部材下縁側に引張応力に伴うコンクリートのひび割れが生じる.
これに対し,構造物の内部に配置したPC鋼材を緊張し,プレストレス力を導入した状態での応力度分布を図-1.2.3に示す.
長方形断面に配置したPC鋼材を緊張することで,部材にプレストレスを導入した場合,PC鋼材の緊張力に伴う軸力とPC鋼材を長方形断面の図心から,高さ方向にずらして配置することによる偏心力(偏心モーメント)によって,部材軸方向に応力度が生じる.
以上により,荷重の作用により生じる応力度とプレストレスの導入により生じる応力度を足合わせた際の合成応力度の分布は,図-1.2.4に示すとおりとなる.