【前回の記事を読む】私の胸で声を出して、肩を震わせながら泣いている夫。愛おしいと思った。私はもらい泣きして、彼の頭を撫でながら…

第三章 新しい家族

「二人も新婚旅行と行こうか。休みも取れたし、仕事はリモートで出来るし。ホテルも別で二泊予約したよ」

「本当! 嬉しい。ねぇ、叔母様達も一緒に過ごしましょう」

「香子はいいの?」

「もちろんよ。早く電話して」

「父さん、僕達、二泊延長するけどどうする? ああ、分かった。じゃ、一泊一緒にホテルを取ろうね」

「一日は延長するって。ホテルに電話しようね」

「父さん達のホテルも予約取れたよ」

「良かった」

電話が鳴った。

「幸也、どうした。明日の準備はオーケーか? ああ、延泊するよ。幸也達も? 新婚旅行だろう。二人で居ろよ。香ちゃんが? 分かった。一緒に行動しようね」

「丈哉さん、どうしたの」

「幸也達も、一緒に行動するって。香ちゃんが家族で居たいそうだ。幸也は残念そうだった。アハハハハ」

 

沖縄から帰ってきた。羽田に着いたら、やはり冷たい。底冷えする。やっぱり沖縄は暖かかった。また、行きたい。

そして、一ヵ月が過ぎた。

今日の会議で吉田社長が会長になり、社長の座をどうするか検討中だ。

僕が副社長で、全会一致で決議。社長として現吉田副社長以外にもう一人、推薦が上がった。

「僕は、吉田副社長が社長に座らないのでしたら、副社長は辞退します。そして退職します。それが条件です。皆さんもよくご存じでしょう。今までの吉田副社長の見えない努力を。僕はよく知っています。仕事人生、最後まで、ついていきたいです」