「ただいま」
「お帰りなさい」
「そういえば、会社の杉田、覚えているかい」
「ええー、とても明るくて、可愛らしい方でしょう」
「第四土曜日に、ピザとパスタを教えてほしいそうだ」
「ええー、嬉しいです。是非来てください、と伝えてね」
「そうなるよな~。大切な土曜日なのになぁ~」
「何、言っているんですか。怖そうな丈哉さんの家に遊びに来るのですよ。嬉しいじゃないですか」
「それもそうか。杉田だけ、僕の事を怖がらないんだ。どうしてだろう。不思議だ」
「性格、見抜いているのかしら」
第四土曜日、九時半。ピンポ~ン。
「私、出ます」
「いらっしゃい。杉田さん。先日は楽しい会社案内、ありがとうございました」
「今日は図々しく来ました。よろしくお願いいたします」
「はい、承知いたしました。さぁ、上がってください」
「専務、おはようございます。二人の時間を邪魔しに来ました」
「アハハハハ。ゆっくりしていきなさい」
分かっているな。
「は~い」
本当に明るい子だ。
「それでは始めましょう。まず、手を洗ってからですね」
「奥様。私、香(かおり)と言います。いい香りがする、香です」
「うふふふ。それじゃ、香ちゃんね」
「はい。頑張ります」
丈哉さん、リビングで暇そうだ。