第三章 新しい家族
ある日の事、太郎に事件が……。
二日前から、太郎の様子がおかしかった。いつもなら私が勝手口のドアを開けると走ってきて、遊ぼう、遊ぼうと構ってポーズ。それがドアを開けても、
「太郎、太郎」
四~五回呼んでようやく来る。変だと思いながら、ご飯を上げる。いつも少し残す。朝、
「あら、全部、食べたね」
また、夕方、
「太郎、太郎」と呼んでようやく来た。
「変だね。体調悪いのかしら」
金曜日の夕方、
「太郎、た……えっ!」
もう一匹、太郎の側にいる。
「どうしたのかな。太郎のお友達?」
太郎、
「ワン!」どうも、メスのようだ。
「太郎の恋人?」
太郎、
「ワン、ワン」
「そうなんだ~。恋人か」
太郎、嬉しそうにしっぽを振って恋人の周りをクルクル回っている。