第1章 20年前からの質問
2016年3月15日。
「おはようございます。本日の引継ぎを行います」
「本日の作業終了時刻は5時30分、定刻前に終了し出発の遅れもございません。また、昼の引継ぎにありました件ですが……」
沢崎大輔26歳。三交代制の物流センターで勤務している入社8年目の正社員。愛車のロードスターを乗り回す平凡な社会人だ。
「……以上で引継ぎを終了します。後の業務よろしくお願いいたします」
「はい、本日もお疲れ様でした」
「現場に異常がないか再度確認しに行きます」
引継ぎが終わり、大輔は夜勤でした作業に異常はないかチェックをしに行った。
「出荷漏れとかは特になさそうだな……と」
が安堵したのもつかの間、事務所に戻ると先輩社員が声を掛けてきた。
「沢崎君、店舗から誤配の連絡あった。今から回収してそのまま配達してほしい」
「分かりました。今から準備して向かいます」
大輔は会社の社用車で急ぎ向かった。
配達を終え、会社に戻った時には既にお昼だった。大輔はそのままお昼休憩に入った。休憩室に行くと係長が先にお昼休憩に入っていた。
「お疲れ様です」
「おお、大ちゃん配達お疲れ。店舗の人になんか言われた?」
「いえ、向こうも忙しそうでしたから。はいどーもくらいでしたわ」
「そっか、ならよかった。たまに嫌味言ってくる奴おるからなぁ」
「まあ、こっちが悪いですからね……」
と忙しくも変わりのない日々を過ごしていた。
「お先に失礼致します」
その後は大きな問題もなく1日の業務を終えた大輔は、定時の18時でタイムカードを押した。自家用車を停めている駐車場へ向かう途中、横から「大ちゃん!」と声を掛けられた。