ピザ屋さんでは、初めのうちは全員が1枚でも多く食べることに専念する形で寡黙だったが、各自10枚を超えて一息ついたくらいのタイミングで朗子が今年度の部活強化策として色々話し出したら、ピザ以外のことに逃避したかった皆での活発な議論になった。

キャプテンの深田は、さすがにオピニオンリーダーだけのことはあるなと感心しながら後押しし、幹部の末席に(自称ではあったが)連なっている西尾も、この2人についていけば大丈夫だと意見を丸飲みしたので、プール練習に加えるアイデアが満場一致で固まった。

朗子の現状打破の問題提起に大いに賛同した部員たちが「自分に限界を作るな、だね」と言いながら、チーフコーチ任せだった練習にいくつかのことを取り入れることを決めた。

中には首をかしげる発案もあったが、主なものを紹介すると、

(1)アップ・ダウンはバタフライのみ(提唱者:西尾)
ただでさえ泳力に劣るチームが他校に少しでも追いつくため、練習開始のウォーミングアップと終了のクールダウンは、全員が他の泳ぎに比してやたらと体力を使うバタフライで泳ぐことにした。

(2)段々と本数を増やすインターバル(提唱者:深田)
「個々の力を最大限伸ばしていくには限界を作ってはいけない」という建前に、「ロング1本で長く泳ぎ続けるのは途中で距離を数え間違えるし飽きるから」という本音も見え隠れしたが、「n分間とかに50~100mを1本」泳ぐことを何本も続けていくインターバルトレーニングで、その本数を徐々に増やしていくことにした。

 

👉『今のこのままの日本でいいのか』連載記事一覧はこちら

【イチオシ記事】妻の親友の執拗な誘いを断れず、ずるずる肉体関係に。「浮気相手と後腐れなく別れたい」と、電話をかけた先は…

【注目記事】何故、妹の夫に体を許してしまったのだろう。ただ、妹の夫であるというだけで、あの人が手放しで褒めた人というだけで…