「こりゃどういうことだ」盛江は首を傾げた。
早坂は道路の終点を指差し、
「まるで二つの違う世界がここでぶつかり合っているようだな」
「その通りだよ」沼田の目が興奮の色を帯びた。「キャンプ場と、それ以外の場所が、ここでぶつかったんだ」
林は息を飲み、
「夜中の衝撃や、浅間山の変化のことも、これと関係があるのかな?」「分からない……が、否定はできない」
四人はキャンプ場に戻った。
見てきたものはすぐに全員に伝えられた。
キャンプはたちまち混乱した。
昼は女子のつくった昼食を全員でとったが、あとは互いの不安を確認するおしゃべりに終始した。午後になっ ても観光案内所の係員は出勤してこない。大学生らは係員に望みを掛けていた。係員なら昨夜の爆音も、道路の事も、何から何まで知っていて、笑い話のように解決してくれる――そう信じていた。
しかし、三時を過ぎてもやってこない。大学生にも焦りが見えはじめた。そんな空気が伝わったのか、中学生女子の数人がパニックを起こし、泣いたり貧血を起こしたりした。林は「大人なんか待っちゃおれない」と、副リーダーらに呼び掛けて対策を話し合うことにした。
これが緊急会議が行われた発端である。
そこで唐突に発せられた早坂の原始時代発言は、混乱する若者たちをますます混沌に陥れた。