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先日東京へ行って出席してきたALS設立総会のメモをまとめたので送ります。善一さんはSPMAと診断されたので、ALS患者と状況が同じというわけではありません。
でも、私自身総会に出席して、かなりのショックを受けたことは隠しようもないことですが、総会に出席したことで、今まで霧の中にいたような感じだったのが、一気に頭の中が鮮明になったような気がしました。
大学病院の先生から直接には何も説明を受けていなかった私は、本屋で医学書を立ち読みしたり、大学の図書館で調べさせてもらったり、あちこちに電話をかけたり、できることをやってはいましたが、今ひとつ実感に欠けたところがあったのです。
総会で、現在の日本の医学界のトップレベルの方々(医療技術においても、ALSを絶対解明してやろうという意気込みにおいても)と直接お会いして、最新の情報を直接教えていただいたことは、本当に意義深いものでした。
それにもまして、私にとっては、東京の街を善一さんと歩いたことが、大きな意味を持ったことになりました。
それは、私自身が、善一さんの病状を正しく把握していず、心の中で現実を直視することから逃げようとしていたことがはっきりわかったからです。
毎日一緒に暮らしていても、家の中では歩くといっても知れていますから、善一さんの足がどんな状態なのかはっきりつかめません。
平地では、少し足を引きずって歩くだけで、そんなにはほかの人と違わないように見えたのです。
そういえば、この頃では、善一さんと街を一緒に歩いたことさえまったくありませんでした。
それが、東京へ行って、いやも応もなく歩く羽目になり、それは歩きやすい平地ばかりではありませんから、たいそう不自由な思いをさせてしまったのです。
特に、電車の駅の階段には閉口しました。段数が多いばかりでなく、時間を問わず人が多く、いつも人に押し倒されるのではないかと、軽い恐怖を覚えたりしました。
次回更新は8月16日(土)、22時の予定です。
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